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レース業界を目指す人,そうでない人へ

こんちには,2013年加入,2017年卒業の久保です.

2013年加入時から,卒業までの4年間にAGRCではシャシー設計担当およびチーフエンジニアとして活動していました.

現在は,F1用パワーユニットのテスト担当として仕事をしています.

添付の写真は2018年の日本GP直前に,当時のTorro rosso Hondaのドライバーだった,ピエール・ガスリー選手,ブレンドン・ハートレー選手がHRD sakuraに訪問してくれた時の写真ですが,ガスリー選手(白いキャップを被っている)の写真で見て左隣を陣取っているのが私です.

当時入社2年目の私でしたが,非常にモチベーションアップにつながったことを覚えています.

 

さて,今回は

①私がなぜAGRCへ入ることを決めたか?

②AGRCへ入って何を身に付け,現在の仕事に活かせているか?

を紹介したいと思います.

 

①私がなぜAGRCへ入ることを決めたか?

写真は,私が入学しAGRC加入直後に2013年大会に向けてスポンサーであるクイック羽生様にてテスト走行を行った際の写真です.

 

私は,小学生の時からF1エンジニアになることを夢見ていました.

特に,2010年当時高校生だった私は,F1で空力トレンドとしてあった”Fダクト”や翌年以降に登場した”コアンダエキゾースト”に感銘を受け,空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイ氏”に憧れ,本格的にF1エンジニアを目指すきっかけとなりました.

大学を受験する際も,ニューウェイ氏が学んでいた航空宇宙工学(2013年当時,林研究室)があり,当時よりヨーロッパにてF1エンジニアの登竜門の一つであった学生フォーミュラがある大学が,青山学院大学だったため入学を決意し,入学直後も迷わずにAGRCへ加入しました.

当時のAGRCはフォーミュラカーでは異彩であるFR駆動方式を採用したレイアウトで,”変わったことやってるチームだな!自分にピッタリ!”と感じたことを覚えています.

 

さて,AGRC加入を決めたのは”レース業界に入るための能力がつけられる”と感じたからです.

写真に戻りますが,加入直後の走行テストではF1中継等でメカニックたちが実際にやっているような作業(オイル漏れチェック,タイヤの空気圧計測等...)を実際に経験し,いよいよ自分もモータースポーツの世界に踏み入れることができたと感動したことを今でも覚えています.

実際に,この初走行テストでは,走行開始までの残り10分でエンジンがかからないトラブルが発生しているなか,どうすれば時間までに走行できるように復旧できるか?(レースの世界ではこのタイムスパンが非常に短い)を学生たちで考えることを経験し,モータースポーツ登竜門にピッタリだと感じることができました.

 

②AGRCへ入って何を身に付け,現在の仕事に活かせているか?

写真左

2016年大会(4年生最後の大会)会場にて,車検直前のチェックの際にエンジンキルスイッチが作動しないトラブルが発生し,最上級生(4年生)メンバー3名でどうすればトラブル解決できる電装回路にできるか?(当日の車検受付終了まで,残り5時間)を話あっている写真.

ホワイトボード左から当時のリーダー,FAの林先生,白いインナーを着ているのが私,マーカーを持って回路を説明しているのが当時の電装・エンジン担当.

3人で案を出し,当日中にトラブル復旧をし何とか車検をクリアすることができた.

 

写真右

これもまた,2016年大会直前の整備中ブレーキのエアが抜けないトラブルが発生し終電直前までにエア抜き作業をしている様子.

 

AGRCへ入って,”トラブル発生時の原因解析から解決まで,自ら動いて解決する力”が身についたと思います.写真にあるように,AGRCではすべてを学生たちでこなします.

特に,自分の担当領域でトラブルが出た際は自分しか知らないようなことなどたくさんあるので自分で考え,周りを巻き込んでクルマ作りに取り組んでいました.

現在,F1のパワーユニットのテストを担当していますが,他のレース用エンジンと比較しF1用パワーユニットは,エンジンのモーター,ターボのモーターによる発電をしているハイブリッドエンジンのため非常に制御が複雑です.そのため,テストを担当している本人がデータをチェックし,肌感で感じてトラブルを阻止するなどAGRCで培われた”自ら動いて解決する力”が現在発揮できています(特に短いタイムスパンで実行する力).

この力は,レース業界だけでなくどこの業界,社会でも通用する力のためレース業界に入りたいと思っている人はもちろんですが,そうでない学生の皆さんにも学生フォーミュラはおススメです.

 

最後に

最後になりますが,なによりこの大学での4年間,学生フォーミュラを通じてチームの仲間と1台のフォーミュラカーを製作したことが社会人になってから楽しかった思い出であり,何にも代えられない経験でした.

現役当時は大変で,楽しいと感じた時間は全体の1割にも満たないくらいですが,自分たちのクルマが実際に走っている姿を見たり,運転している際は自分の生きていた中で最高に感動した瞬間でした.

そんな経験をぜひ,AGRCで味わいましょう!

 

略歴

2013年(18歳):青山学院大学理工学部機械創造工学科へ入学,同時にAGRCへ加入

2017年(22歳):機械創造工学科卒業,株式会社本田技術研究所へ入社

2017年10月:半年間の研修後,HRD sakuraへ配属.以降F1用パワーユニットテスト担当として活動中.

 

好きなF1ドライバー:マックス・フェルスタッペン.ニコ・ロズベルグ,セバスチャン・ベッテル

好きな女性芸能人:高本彩花(日向坂46),広瀬すず,みちょぱ